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犯罪の防止に配慮した住宅の構造、設備等に関する指針(案)

第1 通則

1 目的

この指針は、福岡県犯罪のない安全・安心まちづくり条例(平成19年福岡県条例第70号)第16条第2項の規定に基づき、住宅(一戸建ての住宅、共同住宅(長屋を含む。))について、犯罪の防止に配慮した構造、設備に関する基準、居住者の安全を確保するための管理対策等に関する基準等を示すことにより、防犯性の高い住宅の普及を図ることを目的とする。

2 基本的な考え方

(1)指針の適用
この指針は、住宅を建築しようとする者及び設計者等に対し、住宅の防犯性の向上を図るため、企画及び計画、設計上配慮すべき事項並びに日常生活において配慮すべき事項を示し、自発的取組を促すものであり、関係法令との関係、犯罪の発生状況、建築計画上の制約、管理体制の整備状況等を考慮して、適用するものとする。

(3)指針の見直し
この指針は、社会状況の変化、技術の進展等を踏まえ、必要に応じて見直すものとする。

3 防犯の基本原則

住宅における犯罪を防止するため、次の基本原則に基づき、住宅の周辺地域の状況、入居者属性、管理体制、時間帯による状況の変化等に応じて、住宅の防犯性の向上を図るものとする。

(1)周囲からの見通しの確保(監視性の確保)
周囲及び住戸内からの見通しを確保し、屋外に住民の目が自然に届くような環境をつくることにより、犯罪企図者(注1)が近づきにくい環境を確保する。

(2)居住者の共同意識の向上(領域性の強化)
居住者が帰属意識を高め、コミュニティの形成、環境の維持管理等により、犯罪の起きにくい領域を確保する。

(3)犯罪企図者の接近の防止(接近の制御)
塀、門扉等を設置し、犯罪企図者の侵入経路を制御することにより、犯罪企図者の犯行を物理的、心理的に断念させ、犯行の機会を減少させる。

(4)部材、設備等の強化(被害対象の強化・回避)
犯罪企図者が住戸内へ侵入しようとする際、破壊できない、又は破壊に時間を要する窓や扉にすることにより、犯行を断念させ、被害を回避する。

4 防犯性の向上に配慮した企画・計画・設計の進め方
住宅を建築しようとする場合は、敷地の規模及び形状、周辺地域の状況等を把握し、基本原則(第1の3に掲げるものとする。以下同じ。)を踏まえた上で、計画建物の入居者属性、管理体制等を勘案しつつ、敷地内の配置計画、動線計画、住棟計画、住戸計画、外構計画等を一体的に検討すること。



第2 犯罪の防止に配慮した住宅の構造、設備等に関する事項

1 一戸建ての住宅
(1)玄関
ア 配置
(ア)玄関は、道路からの見通しが確保された位置に配置すること。
(イ)道路からの見通しが確保されない場合は、門扉の設置やセンサーライト(注2)等の防犯設備を設置するなど犯罪企図者の侵入防止に有効な対策を講ずること。
イ 扉の構造
(ア)玄関扉には、防犯建物部品(注3)等の扉、枠及び錠を設置すること。
(イ)改修の場合において、やむを得ず防犯建物部品等が設置できない場合は、次の対策を講じることが望ましい。
○錠前部のこじ開けを防止するため、扉と扉枠の隙間からかんぬきが見えない構造又はガードプレート等を設置すること。
○玄関扉に明かり取り部、郵便受け等を設置する場合には、それを破る又は工具等を差し込む等によるサムターン回し(注4)が困難な構造とすること
○玄関扉を引き戸にする場合には、ねじ締り破りを防止するため、引き戸の隙間を覆う部材を使用すること。
○破壊及びピッキング(注5)等による解錠が困難な構造とするため、彫込錠等の耐破壊性能を有し、かつピッキングが困難な構造のシリンダーを有するものを使用するとともに、主錠のほかに補助錠を設置すること。
○カム送り解錠(注6)を防止するため、錠ケース内部の不要な隙間を塞ぐ、又はシリンダーカラーと扉の隙間をなくしたものとすること。
○サムターン回しを防止するため、指で回転させる以外は回転しづらい形状や回転角度を増やしたサムターン又はサムターン回し防止用カバーを使用すること。
○外部の様子を見通すことが可能なドアスコープ(注7)や錠の機能を補完するドアチェーンを設置すること。ドアスコープを設置する場合は、外から簡単に外されないものを取り付けること。


(2)勝手口
ア 配置
(ア)勝手口は、道路又は周囲からの見通しが確保された位置に配置すること。
(イ)道路又は周囲からの見通しが確保されない場合には、センサーライト等の照明設備を設置すること。
イ 構造
(ア)勝手口の扉には、防犯建物部品等の扉、枠及び錠を設置すること。
(イ)改修の場合において、やむを得ず防犯建物部品等が設置できない場合は、前項玄関のイ扉の構造の(イ)に示すこじ開け防止等に有効な対策を講じることが望ましい。

(3)インターホン及びドアホン
ア 住宅内と玄関の外側との間で通話が可能な機能等を有するインターホン又はドアホンを設置すること。 イ インターホン又はドアホンの設置に当たっては、玄関の外側を映し出せる機能を有し、録画が可能なものとすることが望ましい。

(4)窓
ア 配置
(ア)窓は、道路又は周囲からの見通しが確保された位置に配置し、居室や寝室の窓についても、プライバシーの確保上支障のない範囲において、周囲からの見通しを確保すること。
(イ)道路又は周囲からの見通しが確保されない場合は、適当な場所にセンサーライト等の防犯設備を設置するなど、犯罪企図者の接近の抑止に有効な対策を講じること。
イ 構造
(ア)犯罪企図者の侵入が想定される窓のうちバルコニー、庭等に面するものには、錠付きクレセント、補助錠を設置するとともに、防犯建物部品等のサッシ及びガラス(防犯建物部品等のウィンドウフィルムを貼付したものを含む。以下同じ。)を設置するほか、防犯性の高い雨戸又は窓シャッター等を設置することが望ましい。
(イ)犯罪企図者の侵入が想定される窓のうちバルコニー、庭等に面するもの以外の窓には、面格子等を設置すること。ただし、面格子等の設置が困難な場合は、防犯建物部品等のサッシ及びガラス又は防犯センサー(注8)等の防犯設備を設置するなど侵入防止に有効な対策を講ずることが望ましい。

(5)バルコニー
ア 配置
バルコニーは、縦どい(注9)、塀、樹木、車庫等を利用した犯罪企図者の侵入が困難な位置に配置すること。
イ 構造
(ア)縦どい等がバルコニーに近接する場合には、面格子の設置などバルコニーへの侵入防止に有効な対策を講ずること。
(イ)バルコニーの手すりは、プライバシーの確保及び転落防止に支障のない範囲において、道路及び周囲からの見通しが確保された構造とすること。

(6)庭及び敷地内の空地
ア 配置
(ア)庭及び敷地内の空地は、道路及び周囲からの見通しが確保された配置とすること。
(イ)植栽は、植樹する位置、繁茂や枝振りの状況、見通し等に配慮するとともに、居室の窓やバルコニーへの侵入の足場とならないようにすること。
イ 構造
道路及び周囲からの見通しが確保できない場合には、砂利敷き又はセンサーライト等の防犯設備を設置するなどの対策を講ずること。

(7)塀、柵、垣等
塀、柵、垣等の位置、構造、高さ等は、周囲からの死角の原因とならないよう配慮するとともに、窓等への侵入の足場とならない構造とすること。

(8)防犯センサー等
防犯センサー等の防犯設備を設置する場合は、道路及び周囲の状況や玄関、勝手口及び駐車場等の配置を考慮し、敷地内及び住宅内のそれぞれにおいて、犯罪企図者の侵入防止に有効な位置、機種等を検討して設置すること。

(9)駐車場
ア 配置
駐車場は、道路及び周囲からの見通しが確保された位置に配置すること。
イ 構造
(ア)屋根を設置する場合には、侵入の足場とならない配置及び構造とすること。
(イ)門扉等を設置する場合には、道路及び周囲からの見通しが確保された構造とすること。
(ウ)車庫を設置する場合には、防犯建物部品等のシャッター、施錠可能な門扉の設置等外部からの侵入を制限する設備が設置されていることが望ましい。
(エ)駐車場には、センサーライト等の防犯設備を設置することが望ましい。

(10)その他
ア 門扉を設置する場合には、門灯を設置するとともに施錠可能な構造とすること。
イ 敷地の周囲には、照明設備を設置することが望ましい。
ウ 縦どい、冷暖房機の室外機等の屋外付帯設備は、侵入の足場とならない位置に配置すること。

2 共同住宅
2-1共同住宅における共用部分
(1)共用出入口
ア 共用玄関
(ア)共用玄関は、道路及びこれに準ずる通路(以下「道路等」という。)からの見通しが確保された位置に配置すること。
(イ)道路等からの見通しが確保されない場合には、防犯カメラの設置等により見通しの確保を補完する対策を講ずること。
イ 共用玄関扉
(ア)共用玄関には、扉を設置することが望ましい。
(イ)共用玄関扉を設置する場合には、扉の内外を見通せる構造とするとともに、共用玄関の外側と各住戸の間で通話可能なインターホン及びオートロックシステム(注10)を導入することが望ましい。
ウ 共用玄関以外の共用出入口
(ア)共用玄関以外の共用出入口は、道路等からの見通しが確保された位置に設置すること。
(イ)道路等からの見通しが確保されない場合には、防犯カメラの設置等により見通しの確保を補完する対策を講ずること。
(ウ)共用玄関以外の共用出入口には、自動施錠機能付き扉(注11)を設置することが望ましい。
エ 共用出入口の照明設備
(ア)共用玄関の照明設備は、その内側において、人の顔や行動を明確に識別できるように、床面において概ね50ルクス以上の平均水平面照度、その外側において、人の顔や行動を識別できるように、床面において概ね20ルクス以上の平均水平面照度を確保することができるものとすること。
(イ)共用玄関以外の共用出入口の照明設備は、人の顔や行動を識別できるように、床面において概ね20ルクス以上の平均水平面照度を確保することができるものとすること。

(2)管理人室
管理人室を設ける場合には、共用玄関、共用メールコーナー(宅配ボックスを含む。以下同じ。)及びエレベーターホールを見通せる構造とし、又はこれらに近接した位置に配置すること。

(3)共用メールコーナー
ア 配置
(ア)共用玄関にある共用メールコーナーは、共用玄関、管理人室等からの見通しが確保された位置に配置すること。
(イ)見通しが確保されない場合には、防犯カメラの設置等により見通しの確保を補完する対策を講ずること。
イ 照明設備
共用メールコーナーの照明設備は、人の顔及び行動を明確に識別できるように、床面において概ね50ルクス以上の平均水平面照度を確保することができるものとすること。
ウ 郵便受箱
郵便受箱は、施錠可能なものとすること。また、共用玄関にオートロックシステムを導入する場合には、壁貫通型(注12)等とすることが望ましい。

(4)エレベーターホール
ア 配置
(ア)共用玄関のある階のエレベーターホールは、共用玄関、管理人室等からの見通しが確保された位置に配置すること。
(イ)見通しが確保されない場合には、防犯カメラの設置等により見通しの確保を補完する対策を講ずること。
イ 照明設備
(ア)共用玄関のある階のエレベーターホールの照明設備は、人の顔及び行動を明確に識別できるように、床面において概ね50ルクス以上の平均水平面照度を確保することができるものとすること。
(イ)その他の階のエレベーターホールの照明設備は、人の顔及び行動を識別できるように、床面において概ね20ルクス以上の平均水平面照度を確保することができるものとすること。

(5)エレベーター
ア 防犯カメラ
エレベーターのかご内には、防犯カメラを設置することが望ましい。また、防犯カメラを設置する場合には、管理人室等にかご内の状況を映すモニターが設置され当該カメラによる画像が記録されていること。
イ 連絡及び警報装置
エレベーターのかご内には、犯罪発生等の非常時において押しボタン、インターホン等により外部に連絡又は吹鳴(すいめい)する装置を設置すること。
ウ 扉
エレベーターのかご及び昇降路の出入口の扉には、エレベーターホールからかご内を見通せる構造の窓を設置すること。 エ 照明設備
エレベーターのかご内の照明設備は、人の顔及び行動を明確に識別できるように、床面において概ね50ルクス以上の平均水平面照度を確保することができるものとすること。

(6)共用廊下及び共用階段
ア 配置・構造等
(ア)共用廊下及び共用階段は、周囲から見通しが確保され、死角を有しない配置、又は構造とすることが望ましい。
(イ)屋外に設置される共用階段は、住棟外部から見通しが確保された位置に配置すること。
(ウ)屋内に設置される共用階段は、各階において階段室が共用廊下等に常時開放されたものとすることが望ましい。
(エ)避難のみに使用する屋外階段の地上へ通じる出入口扉には、自動施錠機能付きの錠を設置すること。
(オ)各住戸のバルコニーや窓に近接する場合には、必要な箇所に面格子、柵等を設置するなど侵入防止に有効な対策を講ずること。
イ 照明設備
共用廊下及び共用階段の照明設備は、極端な明暗が生じないよう配慮しつつ、人の顔及び行動を識別できるように、概ね20ルクス以上の平均水平面照度を確保することができるものとすること。

(7)屋上
ア 屋上への出入口等には、扉を設置し、屋上を居住者等に常時開放する場合を除いて施錠可能なものとすること。 イ 屋上が住戸バルコニーや窓に近接する場合には、住民が避難するのに支障のない範囲において、必要な箇所に面格子又は柵を設置するなど侵入防止に有効な対策を講ずること。

(8)駐車場
ア 配置
(ア)自動車駐車場(以下「駐車場」という。)は、道路及び周囲からの見通しが確保された位置に配置すること。
(イ)駐車場を屋内に設置する場合には、構造上支障のない範囲において、内部を見通すことができる開口部を確保すること。
(ウ)地下階等構造上周囲からの見通しを確保することが困難な場合には、防犯カメラの設置等により見通しの確保を補完する対策を講ずること。
(エ)駐車場に屋根を設置する場合又は立体型の駐車場を設置する場合には、住棟への侵入の足場となることがないよう、隣接する建物の窓及び共用廊下、共用階段までの距離を確保すること。
イ 構造
(ア)駐車場には居住者以外の車両の出入りを制限するため、オートバリカー(注13)など施錠可能で、かつ、見通しが確保された門扉、シャッター等を設置することが望ましい。
(イ)駐車場の照明設備は、極端な明暗が生じないよう配慮しつつ、人の行動を視認できるように、床面において概ね3ルクス以上の平均水平面照度を確保することができるものとすること。

(9)駐輪場
ア 配置
(ア)自転車置場及びオートバイ置場(以下「駐輪場」という。)は、道路及び周囲からの見通しが確保された位置に配置すること。
(イ)駐輪場を屋内に設置する場合には、構造上支障のない範囲において、内部を見通すことができる開口部を確保すること。
(ウ)地下階等構造上周囲からの見通しを確保することが困難な場合には、防犯カメラの設置等により見通しの確保を補完する対策を講ずること。
イ 構造
(ア)駐輪場には、チェーン用バーラック(注14)又はサイクルラック(注15)を設置する等により、盗難防止対策を講ずること。
(イ)駐輪場の照明設備は、極端な明暗が生じないよう配慮しつつ、人の行動を視認できるように、床面において概ね3ルクス以上の平均水平面照度を確保することができるものとすること。

(10)通路
ア 配置
(ア)通路は、道路又は周囲からの見通しが確保された位置に配置すること。
(イ)周辺環境、夜間等の時間帯による利用状況及び管理体制等を踏まえて、道路、共用玄関、屋外駐車場等を結ぶ特定の通路に動線(注16)が集中するように配置することが望ましい。
イ 照明設備
通路の照明設備は、極端な明暗が生じないよう配慮しつつ、人の行動を視認できるよう、概ね3ルクス以上の平均水平面照度を確保することができるものとすること。

(11)児童遊園、広場、緑地等
ア 配置
(ア)児童遊園、広楊、緑地等は、周囲からの見通しが確保された位置に配置すること。
(イ)植栽は、植樹する位置、繁茂や枝振りの状況、見通し等に配慮するとともに、居室の窓やバルコニーへの侵入の足場とならないようにすること。
イ 照明設備
児童遊園、広場、緑地等の照明設備は、極端な明暗が生じないよう配慮しつつ、人の行動を視認できるよう、地面において概ね3ルクス以上の平均水平面照度を確保することができるものであること。

(12)塀、柵、垣等
塀、柵、垣等の位置、構造、高さ等は、周囲からの死角の原因とならないよう配慮するとともに、住戸の窓等への侵入の足場とならない構造とすること。

(13)ゴミ置場
ア ゴミ置場は、道路等からの見通しが確保された位置に配置するとともに、隣接する建物への延焼のおそれのない位置に配置すること。
イ ゴミ置場は、他の部分と塀、施錠可能な扉等で区画するとともに、照明設備を設置することが望ましい。

(14)配管、縦どい、外壁等
配管、縦どい、外壁等は、上階及び居室の窓やバルコニーへの侵入の足場とならないようにすること。

(15)防犯カメラ
ア 設置
防犯カメラを設置する場合には、有効な監視体制等の在り方を併せて検討するとともに、記録装置を設置すること。
イ 配置等
防犯カメラを設置する場合には、見通しの補完、犯罪企図者の犯意抑制等の観点から有効な位置、台数等を検討し適切に配置すること。
ウ 照明設備
防犯カメラを設置する部分の照明設備は、照度の確保に関し規定する各項目のほか、当該防犯カメラが有効に機能するため必要となる照度を確保できるものとすること。

(16)集会所等
集会所等の共同施設は、周囲からの見通しを確保された位置、主要な動線上に配置すること。

2-2共用住宅における専用部分
(1)住戸の玄関扉等
ア 配置
玄関扉は、廊下、階段等からの見通しが確保された位置に配置することが望ましい。
イ 材質及び構造
(ア)玄関扉等には、防犯建物部品等の扉、枠及び錠を設置すること。
(イ)改修の場合において、やむを得ず防犯建物部品等が設置できない場合は、次の対策を講じることが望ましい。
○錠前部のこじ開けを防止するため、扉と扉枠の隙間からかんぬきが見えない構造又はガードプレート等を設置すること。
○玄関扉に明かり取り部、郵便受け等を設置する場合は、それを破る又は工具等を差し込む等によるサムターン回しが困難な構造とすること
○破壊及びピッキング等による解錠が困難な構造とするため、彫込錠等の耐破壊性能を有し、かつピッキングが困難な構造のシリンダーを有するものを使用するとともに、主錠のほかに補助錠を設置すること。
○カム送り解錠を防止するため、錠ケース内部の不要な隙間を塞ぐ、又はシリンダーカラーと扉の隙間をなくしたものとすること。
○サムターン回しを防止するため、指で回転させる以外は回転しづらい形状や回転角度を増やしたサムターン又はサムターン回し防止用カバーを使用すること。
○外部の様子を見通すことが可能なドアスコープや錠の機能を補完するドアチェーンを設置すること。ドアスコープを設置する場合は、外から簡単に外されないものを取り付けること。

(2)インターホン及びドアホン
ア 住戸玄関外側との通話等
(ア)住戸内と住戸玄関の外側との間で通話が可能な機能等を有するインターホン又はドアホンを設置すること。
(イ)インターホン又はドアホンの設置に当たっては、住戸玄関の外側を映し出せる機能を有し、録画が可能なものとすることが望ましい。
イ 管理人室等との通話等
(ア)管理人室を設置する場合は、住戸内と管理人室との通話機能を有するものとすることが望ましい。
(イ)共用玄関にオートロックシステムを導入する場合は、住戸内と共用玄関の外側との間で通話できる機能及び共用玄関扉の電気錠を住戸内から解錠する機能を有するものとすることが望ましい。
(ウ)インターホンには、犯罪発生等の非常時において管理人室等に知らせる警報装置等を設置することが望ましい。

(3)窓
ア 共用廊下に面する窓等
犯罪企図者の侵入が想定される共用廊下に面する窓、接地階住戸の窓のうちバルコニーに面していない窓は、面格子、錠付きクレセント又は補助錠を設置するなど、侵入防止に有効な対策を講じること。
イ バルコニー等に面する窓
犯罪企図者の侵入が想定されるバルコニー等に面する住戸の窓は、避難経路及び消防隊の非常用進入口の確保に支障のない範囲において、錠付クレセント又は補助錠を設置するなど、侵入防止に有効な対策を講じること。

(4)バルコニー
ア 配置
住戸のバルコニーは、縦どい、階段の手すり等を利用した犯罪企図者の侵入が困難な位置に配置するものとし、やむを得ず縦どい、階段の手すり等がバルコニーに近接する場合には、避難計画上支障のない範囲において面格子の設置等により、バルコニーへの侵入防止に有効な対策を講ずること。
イ 手すり等
住戸のバルコニーの手すり等は、プライバシーの確保及び転落防止に支障のない範囲において、道路及び周囲からの見通しが確保された構造とすること。
ウ 接地階のバルコニー
接地階住戸のバルコニーの外側等の住戸周りは、住戸のプライバシーの確保に配慮しつつ、周囲からの見通しを確保したものとすることが望ましい。
なお、専用庭を配置する場合には、その周囲に設置する柵又は垣は、侵入防止に有効な構造とすること。


第3 居住者等の防犯意識の醸成及び相互連携による取組

1 防犯設備、設置物等の維持管理

(1)防犯設備等の点検及び整備
オートロックシステム、インターホン、防犯カメラ等の防犯設備の作動状況を定期的に点検し、適切な整備を行うこと。また、工作物、樹木等により照明設備が覆われることがないよう、定期的に点検すること。

(2)見通しの確保
共同住宅の共用廊下、共用玄関等及び住宅の敷地内に物置、ロッカー等により死角となる箇所を発生させないこと。

(3)植栽のせん定等 植栽は、周囲からの見通しを妨げず、かつ犯罪企図者が身を隠せないように、繁りすぎて死角が生じないよう定期的なせん定又は伐採を行うこと。

(4)屋外機器等の設置 屋外に設置する機器や物置等については、侵入の足場とならないよう適切な場所に設置すること。

2 自主防犯体制の確立等

高齢化が進展するなか、地域活動、住民相互のふれあいを促進し、地域による自主防犯意識を向上させ、巡回パトロール等の地域ぐるみで自主防犯活動を推進すること。
ア 一戸建て住宅
近隣の住民との連帯感を深め、地域住民による自主防犯活動を推進すること。管轄警察署との連携に努め、犯罪発生状況等の情報を防犯対策として有効に活用すること。
イ 共同住宅
すべての居住者及び住宅の管理者が、住宅の構造及び防犯設備等の種類や機能を十分に理解するとともに、共同住宅の管理組合等を中心とした自主防犯活動を推進すること。管轄警察署との連携に努め、犯罪発生状況等の情報を防犯対策として有効に活用すること。

3 犯罪の防止に配慮した住まい方

(1)近隣又は地域単位での取組
近隣の住民と共同して、境界地付近の清掃、植栽のせん定、センサーライト等の防犯設備の設置等を行うこと。また、外出する際には、近隣住民へ不在にする旨を伝え、空き巣等の犯罪の未然防止に協力を求めるとともに、地域において日頃から見かけない人への声掛け等を行い、地域ぐるみで犯罪を防止すること。

(2)戸締まり等
ア 施錠の確認
外出時及び就寝時においては、施錠設備が設置された開口部の施錠状況を確認すること。
イ 鍵の保管管理
外出する場合には、鍵を敷地内に保管することなく携行すること。
ウ 日用品等の整理整頓
脚立やバケツ等の侵入の足場となる恐れのあるものや段ボール等の燃えやすいものを敷地内に放置したままにしないこと。


(注1)「犯罪企図者」とは、犯罪を行おうとする者をいう。

(注2)「センサーライト」とは、夜間において人の動きを検知して点灯するライトをいう。

(注3)「防犯建物部品」とは、「防犯性能の高い建物部品の開発・普及に関する官民合同会議」が公表している「防犯性能の高い建物部品目録」に掲載された建物部品等、工具類等の侵入器具を用いた侵入行為に対して、(1)騒音の発生を可能な限り避ける攻撃方法に対しては5分以上、(2)騒音の発生を許容する攻撃方法に対しては、騒音を伴う攻撃回数7回(総攻撃時間1分以内)を超えて、侵入を防止する防犯性能を有することが、公正中立な第三者機関により確かめられた建物部品をいう。

(注4)「サムターン回し」とは、カギを使用せず、扉に取り付けてある郵便受け箱を破壊して手を入れるやり方。あるいはドアスコープやドアノブを取り外すことなどにより、隙間から針金や特殊な工具等を挿入するやり方等で、サムターンを回して解錠する侵入手口をいう。

(注5)「ピッキング」とは、錠前のシリンダー(カギ穴周辺の円筒)部分に特殊な工具等を差し込んで解錠する侵入手口をいう。

(注6)「カム送り解錠」とは、特殊な道具を用いて、錠シリンダーを迂回し、直接錠ケース内部に働きかけてデッドボルトを作動させ解錠する手口をいう。

(注7)「ドアスコープ」とは、扉を開けずに室内から訪問客を確認でき外部の様子を見通すことが可能な防犯用の広角レンズをいう。

(注8)「防犯センサー」とは、赤外線・振動などを検知することにより、光や音(警報)による威嚇、通報等を行うものをいう。

(注9)「縦どい」とは、屋根から地面まで垂直に取り付けた雨樋をいう。

(注10)「オートロックシステム」とは、集合玄関の外側と各住戸との間で通話可能なインターホンと連動し、集合玄関扉の「電気錠」を解錠することができるものをいい、「電気錠」とは、暗証番号、カードキーにより解錠される錠をいう。

(注11)「自動施錠機能付き扉」とは、ホテルの客室扉等、鍵で施錠をする必要はなく、扉を閉めると自動的に施錠される扉をいう。

(注12)壁貫通型とは、郵便受箱の投函口と取り出し口が前後(建物外・内)に区分されている郵便受箱をいう。

(注13)「オートバリカー」とは、リモコンにより駐車場出入口に設置したチェーン等が上下に作動し、侵入防止を図る設備をいう。

(注14)「チェーン用バーラック」とは、駐輪場に固定されている金属製の棒(バー)をいい、これと自転車等をチェーン錠で結ぶことにより、自転車やオートバイ等の盗難を防止することができる設備をいう。

(注15)「サイクルラック」とは、チェーン用バーラックと同様の機能を有するもので、1台ごとのスペースが明確に区分されているラックをいう。

(注16)「動線」とは、居住者、来訪者等が移動する方向・頻度等を示す線をいう。